【性教育】事件から知る性教育と性教育オススメ動画~知識の積み上げに~

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この記事は、知的障害のある人の性教育について、LITALICOオンラインサマーフェスタ(2021年7月)をベースに性教育オススメ動画も併せてお伝えします。

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「知る」から始める性教育講座~みなさん知ってますか?~

知的障害、発達障害の保護者を対象とした性教育オンランセミナーが、2021年7月に開催されました。日本の性教育事情を知れる貴重なセミナーでしたので、抜粋しお伝えします。

ぜんち共済 ~ 【YouTube動画】性教育に関するお悩みは、まず情報を共有するところから始めよう ~ 7/18 LITALICOオンラインサマーフェスタにて開催しました、ぜんち共済「企業コラボセミナー」がYouTube上で公開されました。

【講師】斎藤利之(一般社団法人全日本知的障がい者スポーツ協会 会長/公益社団法人日本発達障害連盟 理事 保護司)

ぜんち共済

七生養護学校事と累犯障害者から性教育のヒントを探る!

斎藤利之さんのセミナーで、2003年の七生養護学校事件(旧:都立七生養護学校)と累犯障害者(累犯障害者/著:山本譲司)を扱っていました。司法と教育、政治の場での知的障害を知るきっかけになった保護者さんは多いと思います。

この2つの事件は、知的障害のある子を育てる上でとても重要なので、未だの方はしっかりと経緯を確認下さい。

七生養護学校事件は、性教育が国会にまで及んだ例のない事件

七生養護学校事件は2003年、特別支援学校(旧・養護学校)の性教育の授業内容が不適切であるとの理由で、当時の校長や教員たちが厳重注意処分を受けた事件です。2005年には国会を巻き込み、2009年には裁判にまで発展しています。

知的障害のある人の性を認めたくない人たちがいる

当時の国会でのやり取りがセンセーショナルに報道され、全国的にも有名になりました。TVでは、国会の場での赤裸々なグッズ、描写に戸惑った方が大勢いらしたと聞いています。

この事件を保護者の立場で振り返ってみると、知的障害のある人の性と教育が結び付かない人が、知的障害のある人に性教育は必要か?(必要だけど)性描写は必要ない、と聞こえるのです。

教育に綺麗さを求めすぎて、リアルな教育をないがしろにしている…そんな気さえします。

あの騒動から20年も経過しているのですが、知的障害のある人(子)の性教育は、今も置き去りです。

さて、あの事件に関わった都議が、再び性教育について問題視していると朝日デジタルに掲載されました(2018年)。ライター小川たまかさんが引用し、記事を書いてますのでぜひ、お読みください。

東京都足立区の区立中学校で今月行われた性教育の授業について、自民党の古賀俊昭都議が、不適切な授業と問題視。近く、区教委を指導する予定という。

 3月23日の朝日新聞デジタルに掲載された記事「性教育授業を都議が問題視、都教委指導へ 区教委は反論」によれば、問題視されたのは、中学の保健体育の学習指導要領には記されていない「性交」「避妊」「人工妊娠中絶」といった言葉を使った説明が行われた点。

 区教委の担当者らは「10代の望まぬ妊娠や出産を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るためにも、授業は地域の実態に即して行われ、生徒と保護者のニーズに合ったものだ」と反論し、授業内容をブラッシュアップしつつ性交や避妊は引き続き教えていく予定という。

(日本の)刑法では、13歳は性交の意味を理解でき、性行為の同意について責任を課される年齢と示されている一方で、義務教育で性交を教えることは「まだ早い」と言われる。これは矛盾なのではないだろうか。

義務教育で性交を教えないのは「性的同意年齢13歳」と矛盾しませんか(七生養護学校事件を振り返りつつ)

全文は、リンクを貼っておきますのでぜひ。

受刑者の4分の1が知的障害者!?出所後一年未満に7割が再犯(累犯障害者)

累犯障害者という本は、山本譲司さんによるノンフィクション作品。累犯障害者とは、犯罪を繰り返す障害者のことです。

今回のセミナーでは、売春を繰り返す知的障害のある女性を取り上げていました。

累犯障害者 目次
序章 安住の地は刑務所だった―下関駅放火事件
第1章 レッサーパンダ帽の男―浅草・女子短大生刺殺事件
第2章 障害者を食い物にする人々―宇都宮・誤認逮捕事件
第3章 生きがいはセックス―売春する知的障害女性たち
第4章 ある知的障害女性の青春―障害者を利用する偽装結婚の実態
第5章 多重人格という檻―性的虐待が生む情緒障害者たち
第6章 閉鎖社会の犯罪―浜松・ろうあ者不倫殺人事件
第7章 ろうあ者暴力団―「仲間」を狙いうちする障害者たち
終章 行き着く先はどこに―福祉・刑務所・裁判所の問題点

累犯障害者/著:山本譲司

障害のある人が被害者になりやすいという認識は、多くの家庭で共有されていますが、加害者になる可能性もある、についてはどうでしょう?

累犯障害者という本には、軽度知的障がいのある女性が性産業に取り込まれている事実、そして特別支援学校卒業後に、福祉に繋がっていない知的障害のある人が、何度も犯罪を繰り返す累犯障害者になっている事実も書かれています。

また、村木厚子さんの「共生社会を創る愛の基金」では、刑務所にいる受刑者の4分の1が知的障害者(疑いも含む)というデータにおいて、出所後一年未満に7割が再犯という事実も明らかにされています。

知的障害のある人への更生教育が難しいこと、支援が遅れている現実を、先ずは私たち保護者が知っておくことが大切です。

性教育意識調査結果(特別支援学校教員編)

セミナーでは、特別支援学校の先生方の意識調査を講師の斎藤利之さんが仮説を立てながら説明しました。

2020年に東京、名古屋、大阪の特別支援学校の先生方145名を対象とした調査をデータ化

その中で最も気になったのは性教育指導の困難さです。

どのような事が性教育指導を行う際に困難に感じますか(複数回答)?
① 本人の理解度(122名)
② 成長の違い(85名)
③ 家族状況(46名)
④ 教科書の有無(38名)

特別支援学校の先生の性教育に関する意識とは?/ぜんち共済㈱

これまで全員一律、同じように進められてきた性教育ですが、調査によると本人の理解度によって個人差があることが分かってきました。これは、思春期以降の知的障がいのある人の課題としてあがってくる、就労、生活と同じではないでしょうか。

どのように理解してもらうか?は、結局のところ個々の成長に合わせて行ってゆくしかありません。その為には、家庭でも模索を続け、工夫してゆくことが大切なのかもしれませんね。

現場の貴重な声を知ることができるので

性教育オススメ動画をご紹介

斎藤利之さんが、セミナー終盤で性教育に関する参考動画を紹介していました。また、ライター小川たまかさんの記事にあった Consent for kids (日本語版) もすごく良かったのでご紹介します。

Consent for kids (日本語版) 動画2分43秒

Consent for kids (日本語版)です。語りかけるこどものナレーションがやさしいです。「君の体をどうするかは君が決める」という言葉をみなさんに語りかけます。

【性教育YouTuber】シオリーヌ  動画7分20秒

性教育YouTuberで助産師のシオリーヌさん。今回は「小学生におススメ性教育漫画(7分20秒)」をご紹介します。シオリーヌさんの動画は小学生、中学生、高校生と動画によっていろいろ出てきますので使い分けてみて下さい。

SHELLYのお風呂場  動画8分49秒

SHELLYさんが、性教育チャンネルを始めました。今回は、タイトルの「 SHELLY のお風呂場(8:49)」について語った動画をご紹介します。

Consent – it’s simple as tea(日本語版)動画2分50秒

Consent – it’s simple as tea(日本語版) です。一番最初にご紹介した動画と同じくやさしい言葉で語りかけています。「性同意」を紅茶を使って分かりやすく説明しています。お子さんの性教育にお役立てください。

知的障がいのある人(子)の性教育は家庭でもトライしてみる!

七生養護学校事件も累犯障害者の本も、知的障害のある人の性教育を知る上でとても重要なポイントを押さえていると思います。

「性犯罪に巻き込まれない為にどう防ぐのか?」これまでの課題をそのままにせず、知的障害のある人の性教育については保護者も一緒に考えて頂きたいです。

令和になって、たくさんの性教育動画が配信されています。(いい時代になりました)しかし、教育現場では知的障がいのある人への性教育指導の困難さに理解度があげられていました。やはりデリケートな課題は、個々で臨むのが一番良いのかもしれません。

そこで提案です。性教育を家庭でも積極的に取り組んでみて下さい。

先ずは動画や本を一緒に見るのもオススメです。

就労や勉強と同じく、性教育は生きる上でとても大切な教育ですから、それぞれ届きやすいところから始めてみると良いですね。