知的障がいがあっても、特別支援学校や一般高校を経て、企業で働く知的障がい者は増えています。しかし、就労後にどのように支援されているのか?そもそも障害者雇用と福祉施策の連携は上手くいっているのか?などは、これまで不透明でした。
ここでは、2021年6月に公表された膨大な報告書内容から、一部に触れてお伝えしたいと思います。

今回のテーマはココ!!
障害者雇用と福祉の連携について国が縦割りから生じる課題があることを認めているよ。
制度から外れた就労している知的障がいのあるひとたち
卒業後、直ぐに就労した知的障がいのある人たちの課題については、私たち親の会の活動で開催した覆面ユンタク会(限定人数での非公開)でも、度々聞かれてきました。
ただ、裏付けとなるような実態調査がないため、その人だけの課題なのか?それとも一定数、このような状況下にいる人たちがいるのか?など、(親の会が認識してから)10年近くも不透明なまま過ぎました。
2021年6月、やっと障害者雇用と福祉連携の卒後課題について 障害者雇用・福祉施策との連携強化に関する検討会報告書が厚生労働省から公表されました。
検討会報告書の「はじめに」には、 両施策の制度が縦割りになっていることから生じる課題や「制度の谷間」から十分に対応できていない状況等が顕在化(厚生労働省引用)と書かれています。

これでやっと就労と福祉の連携が不十分だったことが明確化されたんだ。
国と課題が共有ができたことは大きいね。

NPO法人Alon Alon理事長 那部智史氏 のFB記事をご紹介。
「半沢直樹」を知ってる方なら分かりやすいかも!
障害者就業・生活支援センター(通称・ナカポツセンター)
沖縄県では、知的障がいのある生徒が高等学校卒業後、すぐに企業就労した場合の支援先は(本島内に4つ。離島含めて6つあります)障害者就業・生活支援センター(通称:ナカポツ)が担います。これまで通り、ナカポツセンター(障害者就業・生活支援センター)の取り組みが期待されていますが、検討会報告書では、課題について次のように報告されました。
一方、卒業後すぐに企業等に就職した者に対する定着支援については障害者就業・生活支援センターが中心に実施している地域が多く、その支援対象者が年々増加する中で、質・量ともにどう対応するかが大きな課題となっている。
障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書
注目してほしいのは質・量ともにどう対応するのかが大きな課題となっているところです。
沖縄県では、平成25年(2013年※)から、卒業生保護者の相談を経て沖縄高等特別支援学校卒後課題として県議会で議論されてきました。
そして令和2年(2020年)4月には、課題解決策の一つとして、南部地区ナカポツセンターを追加で設置しました。※卒後に関連したこれまでの経緯を沖縄県議会議事録検索できます
ナカポツセンターにつきましては、議員御指摘のとおり、北・中・南それから宮古、八重山の5カ所設置しておりますけれども、とりわけ南部圏域のセンターにつきましては登録者数が多いことに加え管轄内に都市部と離島地域が含まれ、支援対象地域も広く支援に当たり課題があると認識していたところであります。このことから沖縄労働局を通じて厚生労働省に対してセンターを複数設置することを要望していたところ、平成31年4月に要件とされる圏域人口が80万人から70万人に緩和され、新設センターを追加で設置することが可能となったところでございます。
2020年第1回沖縄県議会(定例会)商工労働部長より
しかし現時点では、両施策の縦割りから生じる課題や制度の谷間から不十分な状況であることに変わりはなく、特に軽度知的障がいのある子の就労を目的とした沖縄県内の特別支援学校 5校(沖縄高等特別支援学校・中部農林・陽明・南風原・やえせ高等支援学)での課題共有は必須です。そして、解決に向けた具体的な対策が必要です。

先ずは5校に在学する子の保護者の皆さんと課題が共有されるといいよね。

そうだね。そうなれば、卒業後の課題に対する意識も保護者つながりで変わってゆくのかも。
子ども達のためにも、保護者のみなさんで連携してください~
↓一度だけ開催したPTA会長職メンバーによる会議を伝えた記事です。ぜひ!!↓
障害者雇用と福祉連携はスタート地点に立ったばかり
報告書のポイントが公表されています。課題は山積みですので、ぜひ、確認してください。また、それぞれの検討会の議事録では、どんな風に議論されていたのか、中身を確認することができますよ。ぜひ!!
厚生労働省HPからの引用です。