【8050問題】知的障害、発達障害のある人に焦点をあてて

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知的障害、発達障害のある人の8050の動画セミナーが、2020年6月に開催されました。

この記事は、知的障害、発達障害のある人に焦点をあてた8050問題です。今、確認している8050について出来ることから始めましょう。

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「知的・発達障がいのある人へひきつけて考える8050問題」の要点

2020年6月に、又村あおいさん(全国手をつなぐ育成会連合会常務理事兼事務局長)の「知的・発達障がいのある人へひきつけて考える8050 / スーパー又村塾ONLINEセミナー」が開催されました。

動画の大まかな流れは下記の通りです。ポイントを簡単にまとめましたが、深堀りしたい方は目次から内容を確認下さい。

知的、発達障害のある人にとっての「8050」とは?

一般に8050問題とは、80代の親が50代の子どもの生活を支える(背景にひきこもり)という問題です。

知的障害、発達障害のある人の場合は、どちらが先にいなくなっても生活が破綻してしまう3つの相互依存が指摘されています。それは、母親が80代(子が50代)になった時に顕著になっています。

※厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳となっています。(2022/10月更新)

  • 経済的相互依存
  • 介助的相互依存
  • 心理的相互依存

経済的相互依存⇒親(母親)の年金と本人の年金・給与工賃を合算してなんとか生活を維持しており、どちらが先にいなくなっても生活は破綻する

介助的相互依存⇒親は自分が若い時の感覚で本人を介助(声かけ・誘導)し、本人は高齢化により心身機能の低下した親に対して物心両面で介助している

心理的相互依存⇒親は自分が若い時の感覚で「自分がいなければ」と思い、本人は親の高齢化した親の実態を見て「自分がいなければ」と思う

知的・発達障がいのある人へひきつけて考える8050 / スーパー又村塾ONLINE 2020/6/13

障害の程度による「8050」とは?

障害の程度による8050問題では、障老介護老障害介護といった状況が報告されており、程度による課題は異なるものの、深刻になっています。ぜひ、確認ください。

障老介護⇒軽度障害

支援のアウトリーチや個別対応不足を背景に、50歳代の知的、発達障害者が要介護(支援)状態(特に認知症)にある80歳代の親を介護しているケースが報告されています。

老障害介護⇒重度障害

社会資源(入所施設やグループホームなどの生活支援系サービス)の不足を背景に、80代の親が通所サービスのみ利用している50代の知的障害、発達障害者と同居しているケースが報告されています。

■中度障害

個々の状況により、障老介護老障介護にも。

8050の前に、5020に注目!

又村さんのセミナーでは、「8050以前に5020があるという見方を示しました。5020とは、親が50代で子が20代のことです。セミナーで親と子の年代別課題を表にまとめていましたので、それぞれの年代を確認ください。

知的・発達障がいのある人へひきつけて考える8050/スーパー又村塾ONLINEセミナーより
  • 3000⇒適切な療育や保護者支援の欠如
  • 4010⇒学校の無理解や放課後等デイサービスなどの不足、世帯全体で孤立化
  • 5020⇒通所先が確保できれば一時的に安定、つますきや失敗の一部は本人のひきこもりへ
  • 6030⇒本人の独立チャンスだが、多くは暮らしが安定しているか、孤立化しているので踏み出せず
  • 7040⇒親が年金受給となり、経済的相互依存が加わる
  • 8050⇒主に父が死亡して母子世帯型8050が多数

8050問題は、それまでの状況の結果にすぎず要因は5020の時点で既にあると又村さんはいいます。この表から見えてくるのは、その年代の対応の重要性です。

8050問題の解決策は?

親と子の年代別表にあるように、8050問題は、その前の年代での課題が積み上がって深刻な状況が現れていたことが確認できたと思います。

では、知的障害、発達障害のある人が8050問題に陥らないための解決策は、あるのでしょうか?

負のスパイラルを「どの時点で立ち向かうか?」で決まる8050問題

又村さんは、遅くても親が60代、子が30代の6030時点までに、子の人生の見通しを立てることが7040、8050への歯止めをかけるポイントだといいます。

2022年には、長生きしているお年寄りが増えたことで、9060問題という課題も確認されました。8050は、9060へ移行しているようです。

ただ、一般的な8050問題に比べると、社会との接点、第三者との信頼関係ができている知的、発達障害のある人の場合は、リスクが減ると考えられています。

個々の状況を年代別表で確認し、社会との接点や第三者との信頼関係が出来ていない場合は、社会との接点を作りから見直す必要がありますので早目に周囲や行政機関を頼ってください。

中・重度障害の場合
  • 親が60代までにグループホームなどへの利用が見通せるようにする
中・軽度障害の場合
  • 6030までに、本人のライフステージに寄り添う相談員や支援事業所につながる
  • 福祉サービスを利用していない場合や引きこもり状態からの相談
    • 一般の引きこもり支援事業へアプローチをする
    • ひきこもり支援事業と知的障害、発達障害福祉関係相談窓口・事業所との連携を確認する
  • 連携確認が必要な理由
    • 39歳まで⇒ひきこもり支援事業(ひきこもりの定義の年齢が39歳まで)
    • 40歳以上⇒生活困窮者自立支援制度が受け皿に。しかし知的障害、発達障害の場合には、生活困窮にあたらない場合が多い。そのため基幹、委託相談員や発達障害者支援センターへの相談が入口になる可能性も大

社会全体の悩ましい20年先の未来予測~又村さんセミナーから~

2020年6月時点(セミナー開催時)からの20年先までの見通しとして、又村さんの言葉を引用し、ご紹介ます。

社会全体として生活の質や所得水準が上がりにくい情勢、すでに悩ましい未来予測がある

スーパー又村塾ONLINEセミナー2020/6月

2022/10月から、社会保険、年金についての制度改正が始まっています。コロナ禍を経て制度改正は更に進みます。これまでの状況とは変わっていく制度改正についての情報をその都度アップデートしましょう。

本人が、なんらかの人的つながりを有することが、8050問題に立ち向かうこと。私的なつながりを支えるための公的機関はない。

スーパー又村塾ONLINEセミナー2020/6月

超少子高齢化社会の真っただ中にいる私たち日本人は、制度改革が進む一方で自己解決を身に付ける時代に突入したのかもしれません。しかし、課題に解決策が無いわけではありません。又村さんからヒントも頂きましたので、お伝えしたいと思います。

すでに悩ましい未来予測の解決策

≪解決策として≫

8050問題を前向きに解決するためには本人が何らかの人的つながりを有すること

■公的には各種相談窓口、福祉サービスなどとつながり私的には、友人や趣味活動、行きつけの店(社会との接点)でも良いのでつながる

■特に私的なつながりの重要性を認識

知的・発達障がいのある人へひきつけて考える8050 / スーパー又村塾ONLINE 2020/6/13

とはいえ、コミュニケーションのとれない我が子が、どうやって私的なつながりを確保できるのか?という疑問も湧きますよね?

現在、先駆的な取り組みを開始しているNPO法人をご紹介します。

コミュニティーフレンド

障害のある子の親たちで設立したNPO法人PACガーディアンズさんの取り組みが、私的なつながりを後押しする事業として、全国的に有名です。(又村さん情報)事業名はコミュニティーフレンド

コミュニティーフレンドとは、ヘルパー支援でも日中一時支援でもなく、ちょっとしたサポートがコンセプトの事業です。

コミュニティー内の友達という位置づけで、「一緒に同じ趣味を楽しむ」というスタンスだそうです。

法人は、(障害のある人と同じ趣味を楽しめる)友人を募集し、関わり方をレクチャー、サポートしています。

親同士のつながりで、障害のある子を支える取り組みが今後、更に注目されそうですね。

もっと詳しい内容を知りたい皆さんは、又村さんのセミナーをぜひ視聴くださいね。

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