発達障害の人たちが発達するように知的障害のある人たちも発達するということです。それは、知的障害も発達障害もともに、神経発達症(neurodevelopmental disorders)だからです。
知的障害は治りますか?/著・愛甲修子

知的障害は治りますか?
知的障害は治りますか?/著・愛甲修子
著者は、児童相談所、保健所、知的障害者更生施設など、教育、福祉、医療の現場で働いてきた臨床心理士。
著者が現場で出会った保護者や知的障害のある人たちから学び、気付きを得た体験を語った本。
本で学べること!
- 知的障害のある人は、日常生活の中で身体全体の健康を改善させることができる
- 中枢神経の発達を促すことで内臓を含む身体全体が整う
- 身体が整えば、能動的に人生を送ることができる
- 子どもの頃に遅れを指摘された人が健常域で働けていることを知る
本で知る10の未来
- 過去・現在・未来がつながった
- 身体が丈夫になった
- 自己肯定感が上がった
- コミュニケーション能力があがった
- 社会生活能力があがった(自分でできるることが増え、規律が守れるようになる)
- モチベーションがあがった
- 困った時に相談できるようになった
- 粘り強くなった
- 生きがいが持てるようになった
- 感情のコントロールができるようになった
本がオススメの人!
- 発達障害のある子(人)の家族、当事者、医療、福祉、支援者
本を読んで思ったこと
文字や言葉を使って、社会で生きる力に不利な状態の人が知的障害のある人なのだ、ということを本で改めて理解できました。そして知的障害が治るとは、「(本人の)不利な状態を治し、社会で生きてゆける力が備わることだ」と私は捉えました。
人間は文字や言葉を持つ社会的な動物ですね。文字や言葉をやりとりして社会生活を構築してゆく。それが人間であり、それが人間社会です。その中で生きてゆく力が知的能力です。人間が社会的動物であるがゆえに、知的障害があることで社会参加が難しくなったのだ、とも言えます。
知的障害は治りますか?/著・愛甲修子P12
本は、臨床家としての知見が詰まっており、他では手に入らない疑問にも答えています。その中でも私が衝撃だったのは、聴覚障害の方が知的障害と認識され、知的障害者更生施設にいたことです。その時代の弊害を認識できました。
人生を自由に生きるとはどういうことか?
そこにシフトできた人だけが、この本の壮大な目的を知ることができると思います。