【就労】2024年に拡大!働く知的障害のある人たちの社会保険

【就労】知的障害のある人の社会保険
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2022年10月から社会保険の適用者が拡大され、企業就労した障害のある人も適用されています。そして2024年10月には更に拡大します。

この記事は、これまで扶養されていた働く(一般就労や福祉的就労)知的障害のある人の社会保険適用について考えます。

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扶養されていた働く知的障害のある人たちの社会保険適用

2022/10月から従業員数101人以上が適用されました。対象者は以下の通りです。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 2ヶ月を越える雇用の見込みがある
  3. 月額賃金が8.8万円以上(交通手当なども含む)
  4. 学生ではない

改正により、これまで扶養の範囲内で働いていた知的障害のある人も、社会保険料を支払う側になりました。メリットとデメリットを上げてみます。

メリット
  • 年金受給額が増える(年金)
  • 傷病手当金、出産手当金(医療)
デメリット
  • 手取り額が減る(月収)

1つずつ確認します。

週の所定労働時間が20時間以上

週20時間以上というのは、単純計算で週5日の1日4時間です。今、就労移行支援事業所や特別支援学校では、ほぼ、この時間内での就労を目指しています。

2ヶ月を越える雇用の見込みがある

障害者雇用、就労継続A型事業所では、2ヶ月を越える見込みがあると考えていいでしょう。

また雇用契約には、有期雇用と無期雇用の2つがあります。就労移行支援事業所や特別支援学校での就労先は、有期雇用契約の割合が大多数ですが無期雇用契約も増えてきました。厚労省サイトに「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」がありますので、詳しい内容をご確認下さい。

月額賃金が8.8万円以上(交通手当なども含む)

月額8.8万円というのは、交通費などの諸手当も含まれた月収です。知的障害のある人は、最低賃金で雇用されている場合がほとんどなので、随時、最低賃金を確認するといいでしょう。

学生ではない

休学中や夜間学生は対象者です。学生であっても、要件に合えば社会保険が適用されます。

社会保険適用が拡大されている背景

社会保険の適用要件が拡大されている背景には、少子高齢化があるようです。少子高齢化に歯止めがかからない今の状況では、国の方針を注視するほかありません。2024/10月には更に拡大予定ですので、制度についての情報を確認してください。

公認会計士の山田さんの動画解説が分かりやすかったので、ぜひ。

毎月支払う健康保険・厚生年金をチェック!

毎月の給与から天引きされる社会保険料は、健康保険と厚生年金がセットになっています。健康保険は各都道府県で料率が違うので確認しましょう。

なぜ、各都道府県で料率が違う?

都道府県の加入者一人あたりの医療費に基づき、算出されるからなのだそう。

以下引用です。

都道府県ごとに、必要な医療費(支出)が異なるからです。

都道府県ごとの保険料率は、地域の加入者の皆さまの医療費に基づいて算出されています。このため、疾病の予防などの取組により都道府県の医療費が下がれば、その分都道府県の保険料率も下がることになります。

また、平成30年度よりインセンティブ制度が導入され、加入者及び事業主の皆様の特定健診や特定保健指導、ジェネリック医薬品の使用割合等の取組結果が保険料率に反映されています。

全国健康保険協会(協会けんぽ)
知的障害のある人の年金増額

年金額は、年収120万までは1年加入に対し500円という計算です。障害厚生年金の場合、加入期間が短くても300月分給付が確保されました。

気になるのは、加入期間が短いというのは、どれくらいの期間を指す言葉なのか?です。明確な期間が示されていないので今後もチェックして下さい。

社会保険適用拡大ガイドブック
社会保険適用拡大ガイドブック

知的障害のある人が毎月支払う社会保険料の負担額は大きい?

扶養の範囲内で働いていた知的障害のある人が、社会保険料を支払う上でのデメリットは、手取り額が減ることです。

厚生労働省の平成30年度障害者雇用実態調査の結果を公表しますによると、知的障害者の正社員の割合は19.8%、平均賃金は11万7千円で週30時間以上が65.5%です。そして平均勤続年数は7年5か月となっています。

正直なところ、年金増額も医療メリットの傷病手当、出産一時金も働く知的障害のある人へのメリットとしては薄いと感じます。

雇用契約は、そもそも無期雇用なのか?知的障害のある人が健康を維持できなくなった時に、健常者と同じようなスタンスで職場復帰できるのか?出産手当の頂けるほど、知的障害のある女性への社会的環境がどれほど整っているのか?など、生活に関する不安材料は後を絶ちません。

また、知的障害のある人の場合、国民年金は全額免除(申請すれば)になっている場合がほとんどなので、扶養の範囲内で働ける環境にいた知的障害のある人にとっては、負担が大きいとも感じます。今こそ制度と実態のすり合わせが必要ではないでしょうか。

長生きすればメリットになる年金

年金は、長生きすればメリットになります。健康に気を付けながら働き続ける環境を知的障害のある人へ提供できれば、知的障害のある人は戦力として長く働き続けることができます。

家庭でのサポートが必要な知的障害のある人にとって、働き続けるために必要な心身の健康をどう維持してゆくのか?の工夫が、それぞれの家庭で求められる時代に入っています。

ぜひ、共有してご覧いただけますと幸いです。

  • 通勤手当などの諸手当も含めた総支給額で社会保険は適用される
  • 2024/10月⇒従業員数51名以上の企業、事業所が適用(社会保険が義務化)
  • 働き続けるために=心身の健康を維持するためのサポートが求められる